16/06/07
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朝、コープでハイキングをするために食料と水を買った後
インフォメーション・センターでハイキングのルートを色々と聞き、9時前に歩き始めた。
Zermatt周辺にはハイキング・コースが無数とあり、僕は事前にネットで調べておいた比較的長そうで面白そうな
Zermatt-Tufteren-Rothorn-Findlen-Zermatt
という全部で8時間ぐらいかかると書かれたルートを選んだ。
水とバナナの買いすぎで、バッグがかなり重くなってしまっていた。
周りには、たまにジョギングをしている人が通り過ぎるぐらいで、他には誰もいなく、とても静かだった。
振り返るとマッターホルンが綺麗に見えた。
Tufterenの休憩ポイントの近くに羊らしき動物の群れが草をむしゃむしゃと反芻しており、
しばらく眺めていたら、僕の存在に気がついたらしく、追いかけてきた。
角らしきものが生えていたので、あれで刺されたらさぞ痛いだろうと思い、後ろ向きにゆっくりと退避した。
Tufterenは標高が既に2215mと結構高い。
といっても、Zermattの街自体が1500mぐらいの標高地にあるので、実際登ったのはまだ700mぐらいだ。
ここから更に登っていくと、ある綺麗な傾斜面に、
何やら角生えた鹿とアンテロープを足して2で割ったような動物を目撃した。
これはラッキーと思い、ズームでカメラに収めた。フィルムカメラの望遠レンズでも撮ったので、現像するのが楽しみだ。
標高2288mにある、Sunnega Paradiseに到着したのがお昼頃。
ここからがきつかった。
右手に氷河を眺めながら歩いていくと、次第とまだ溶けていない雪が現れ始め、
更にすすむと辺りは雪だらけになってしまった。
雪には僕の足跡と得体の知れない3本足の動物の足跡しかなかったので、僕は不安になってきた。
今シーズンここを歩いたのは僕が初めてだったのだろうか。
標高3000mを超える、Rothorn Paradiseに近づくと、辺りは静まり、
「誰かいませんかー(hello anybody there?)」と丘の向こう側に叫んだ。
Zermattに来る間の列車の中で読んだ「魔の山」で、Hans Castorpが雪山で迷うシーンを思い出し、
面白可笑しかったと同時に、このまま滑って落っこちたら嫌だなと、そのアイロニーに不気味さを感じた。
ロープウェイの到着地点が丘の向こう側のはずだったのだが、 雪で音が吸収されていたためか、人の声がまったく聞こえない。
丘の向こう側まで歩いていこうと思ったが、これ以上雪山を歩くのは危険だったし、
そもそも本来の趣旨はハイキングだったことを今一度思い出して、来た道を引き返すことにした。
スイスの山は標識がたくさんあって、ハイキングには最適の環境が整っていると聞いていたのだが、
道がなければ歩けないじゃないかと文句を言いながら下って行った。
Sunnega Paradiseでサンドイッチを食べ、Findelnへ向かって歩いた。
Findeln付近も景色が非常に綺麗で、この頃になってようやく
マッターホルンの頂上にずっとかかっていた雲が退き、素晴らしい景色が見れた。
Zermattに戻ったのが、6時頃だったので、やはり予定通り8時間もハイキングしたことになる。
ユースに戻ると、ウィーンからザルツブルグの列車の中で出会ったTakanobu君と偶然ばったりと会った。
世界は小さなものだ。